ほいくりえいと通信

子どもを育てる保育環境、職員を育てる職場環境

保育において、環境設定が重要であるという考えが常識になりつつあります。子どもがどのように感じ、行動するかを考えて、子どもが行動しやすいような環境を作ることが遊びや生活をスムーズにするという考えです。環境によっていかに子どもの行動が変わるかということを、わたしたちは身をもって知っています。

じつはわたしたち大人の行動も、環境によって決まっていることがほとんどです。
例えば、飲酒運転について考えてみましょう。飲酒運転は1960年から道路交通法で罰則が規定されていました。「二年以下の懲役または10万円以下の罰金」と定められていましたが、世間一般的には「飲酒運転=悪」という認識はなく、「検問さえ引っかからなければ大丈夫」程度の認識でした。実際、職場の飲み会となると、酩酊状態で運転する人こそいなかったものの、少し酔いざましをすれば大丈夫、とほろ酔いで運転して帰る人はざらにいました。

ところが2007年に法律が改正され、飲酒運転が厳罰化されるとわたしたちの行動は変化し始めました。
はじめは昔の名残で「少しくらい大丈夫」とほろ酔い運転をする人もいましたが、数年かけて「飲酒運転=悪」「飲酒運転=非常識」という認識に変わると、飲み会でドライバーにお酒を勧める人はいなくなり、ほろ酔いで運転する人もいなくなりました。

飲酒運転が危険であることや、法律違反であることは昔から変わっていません。ですが、社会の状況が変わったことでわたしたちの認識が変わり、行動も変わりました。飲酒運転がたいした罪ではないという時代では、「車なので…」とお酌を遠慮すると、場をしらけさせる「空気が読めないやつ」と思われたものです。
世間の常識という環境が変化したことで、わたしたちの行動が変化したのです。

わたしたちは無意識的に環境に影響され行動を決めています。子どもが保育園と家庭で行動を変えているように、わたしたちも職場の環境によって行動を変えています。

自分から挨拶をしない、ありがとうを言わない、無視をする、否定する…
こんな行動が当たり前の職場になっていませんか?
当たり前を変え、行動を変えるには環境を変える必要があります。

これを機に職場環境を見直してみませんか?