保育の仕事をしていると、良い方向にも悪い方向にも感情が揺れることが多いですね。子どもを可愛いと思う気持ち、成長を嬉しいと感じる気持ち、子どもを喜ばせたいとワクワクする気持ち・・・泣かれたり拒絶されると辛いし、全然話を聞いてもらえないと焦りや怒りの気持ちが湧いてくることもあります。子どもに対してだけではありません。同僚や先輩後輩に対しても、色々な感情を感じています。実は子どもに対して感じている気持ちの奥にも周囲の大人との葛藤が隠れていることが多いです。保育は個人の価値観がどうしても影響してくるので、自分の価値観と合うか合わないかで相手への感情が変わってきます。それが知らず知らず言葉や態度に現れているのです。
保育士が子どもの心に寄り添う子育てのプロでありながら、保育者同士になると理解し合うことが難しいのは感情の問題です。誰もが、自分のほうが正しいと思いたい。好かれたい、すごいと思われたい、嫌われたくない、馬鹿にされたくないなど、無意識の欲求を持っています。不安やストレスが多いほど、自分の心を守るために警戒心は強くなり、他者を批判したくなるものです。子どもの心に寄り添うことはもちろん大切ですが、保育者自身が不安やストレスを抱え過ぎていないか、心の状態を把握しケアすることも同じように大切だと考えています。
保育の質の向上のため、研修がさかんに行われるのは良いことだと思います。ただ、研修の内容を吸収できるだけの心の器があればこそです。油でべとべとのスポンジは、泡立ちが悪くなりますね。不安やストレスでモヤモヤした状態では、知識やスキルを積極的に吸収しようとは思えないのではないでしょうか。不要なストレスや悩みを捨てて心が軽くなれば、子ども達や周囲に向ける目も違ってきます。自分の保育に自信を持ち、より知識やスキルを高めたいとモチベーションも上がるはずです。
メンタルヘルスケアにより職員様の心理的安全性を高め、組織内の風通しを良くすることが保育の質も上げ安定的な園運営に貢献できると考えています。