こころもあなたの身体の一部

 皆さんは、ご自身や身近な人の性格について、どう思われますか?「あの人は性格が悪い」とか「自分の性格が嫌い」という方もいらっしゃると思います。外見に現れる身体の特徴、例えば身長や身体のパーツの形などは自分の意思で変えることが難しく、遺伝子による影響が強いとわたしたちは考えています。一方、性格や態度については、本人にその責任があるように感じてはいないでしょうか。すぐイライラする人、落ち込みやすい性格、欲張りな人、人見知り・・・人によって違うこの「性格」というものは、いったい何なのでしょうか。

 わたしたちは、「心の声」「心の叫び」という表現をしますが、思考や感情というものが「脳」の中で発生しているということは知っています。では脳の中でどのように思考や感情が起こっているかというと、ごく簡単に言えば脳内物質が発生して流れているという現象に過ぎません。
例えば、やる気や達成感を感じるドーパミンという物質がありますが、褒められることやゲームをクリアすることなどで分泌されると言われています。ですが、どの人も同じ条件で同じ量が分泌されるわけではなく、その人によって条件は異なります。一度褒められれば喜んでお手伝いをする子もいれば、そうでない子もいるのは、ドーパミンの分泌と受容に個性があるからです。

 わたしたちは、外見の違いについては意識しなくても理解することができます。一方、外から見えない身体の内部の違いについては理解することができません。ですが、イメージしてみてください。目鼻立ちや手指の形、声、肌質などがこれほど違うのだから、内臓の形や機能も一人ひとり同じであるはずがありません。脳の機能が異なるから性格も違ってくる。そう考えると、「怒りっぽい性格」ということも「胃腸が弱い体質」ということとあまり変わらないのではないかと思いませんか?

 胃腸が弱い人が、食事に気を付けたりすることで体調を保てるように、性格の個性についても適切にケアすることである程度のコントロールはできると考えられます。こころも身体の一部と捉えて、不必要に「ダメな性格」などと責める気持ちをやめ、自分自身や周囲の人を大らかに受け入れることができれば皆が生きやすくなるかもしれませんね。

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