リスクを減らすことのリスク

皆さん、日々どんなニュースをご覧になりますか?
大きな事件や事故ももちろん怖いですが、やはり身近に起こり得ることのほうがより恐ろしく感じるものです。

一般家庭においても保育園においても、まさか!という子どもの事故は日々起こり得ます。
実際、事故にはならなかったヒヤリハットなら毎日あらゆる所で起きていると思います。
そして、より安全を究めるため様々な工夫や苦労をされていることと思います。

わたしも、子どもがケガをしたり泣いて痛がっている様子を見ると、可哀そうで申し訳ない気持ちになりますし、
ジャングルジムのてっぺんに立つ子を見ると、お腹のあたりがきゅっとなります。
けれど、転ぶ直前の子どもはまるで羽根でも生えたかのように意気揚々と走っているものだし、
ジャングルジムのてっぺんから見る景色はどう頑張っても他の方法では見られません。
子ども達がケガをしないことが最優先ならば、あらゆるリスクを排除しなければなりませんが、
ケガのリスクを減らした結果、子ども達が素晴らしい瞬間を経験する機会を失くしてしまうことも、
またリスクなのではないかと考えています。

リスクを減らしてはいけないと言いたいのではないのです。
ゼロリスクという言葉がありますが、リスクは絶対にゼロにはならない。
あるリスクを減らすことで別のリスクが発生するということを理解し、どうバランスを取るかが大切だと思います。

医学も科学も法律も教育も政治も、親も子どもも保育士も、何一つ誰一人完ぺきなものはない。
危険や失敗から100%逃れる方法はない。
生きていくには何かしらのリスクがあることを覚悟し、リスクを選択していく必要があります。


テクノロジーの進化で、わたしたちは限りない便利さや安全性を夢見ています。
しかし、不老不死にはならないし、ドラえもんはたぶん開発されません。
まして、ドラえもんがいたとしても災厄からは逃れられませんよね。


子ども達からすべての痛み・リスクを取り除くことを目指すのではなく、
成長の糧となるよう適切なサポートができる、そんな大人でいたいですね。